関西でコンサートプロモートを行っている弊社GREENS CORPORATIONは2010年、20周年を迎えます。アーティストとオーディエンスにそして音楽を愛するすべての方に感謝したいと思います。ぜひ今後ともグリーンズにご注目ください!
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ライブレポート

7/20『音演会』@ウィンターランド ライブレポート

●曽我部恵一

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まず一番手で登場したのは曽我部恵一。ちょうど日の暮れた時間に合わせるように新曲「夕暮れの光」からゆったりスタートすると、続いてはローソンのCMに使われて話題を集めている「パリに行ったことがあるかい?」。かまやつひろしの名曲「ゴロワーズを吸ったことがあるかい?」の現代版のような、ほどよくグルーヴィーで歌詞にもフランスの地名などを盛り込んだ小粋な佳曲で沸かせると、この日はその後も8月26日にリリースされる初の弾き語りソロ作『けいちゃん』の収録曲ばかりをイチ早く生で披露していった。タイトル通りにストレートな言葉で歌い上げる「愛ってやつを」、逆に囁くような「線香花火」、力強くグルーヴ豊かな「夏の夜の夢」など。新曲ばかりながらも場の雰囲気にもぴったりとマッチしたセットで一気に聞かせると、"親友の"ワタナベイビーを呼び込んで曽我部恵一BANDの「魔法のバスに乗って」をデュオで披露。譜面を見ながらたどたどしく歌うベイビーとの貴重なデュオで沸かせると、最後は曽我部の選曲でホフディランの「キミのカオ」を。場内からは自然発生的に手拍子が起こり、ハートウォームな盛り上がりをキープしたまま次の主役へと繋げた。

 
 


●ワタナベイビー

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曽我部とのデュオからそのままステージ上に残り"(今日は)曲順を考えてなくて..."などと言いながらセッティングを終えて始めたワタナベイビーは、1曲目からホフの名曲「遠距離恋愛は続く」をテンション高く弾き語りで聞かせて、ガラリと雰囲気を一変させた。そのまま"ロックンロールでガンガン行きましょう"とMCすると、アコギを荒々しくロッキンにかき鳴らしながら「サガラミドリさん」「スマイル」とホフの人気曲を次々と。続いては曽我部からのリクエストに応えて「スピリチュアル」、そして次に登場する友部正人からのリクエストで、ライブで演奏するのはかなり久々というソロ曲「1ラウンドでノック・ミー・ダウン」などを聞かせると、友部を呼び込んでのレアなデュオに移った。まずは"(忌野)清志郎さんと作った曲を友部さんと歌うぜいたく"とMCした後にソロ曲の「坂道」を歌うと、最後は友部がたまとの共作で発表したアルバムに収録された「ぼくの猫さん」を。ベイビーと友部という組み合わせならではの2曲で、お互いの個性と世代を超えた音楽的な繋がりの深さを改めて再確認させてくれた。




 

●友部正人

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そして、最後に登場した重鎮・友部は、1曲目の「ダンスホール」から切れ味の鋭いギターワークと独特の歌いまわし、"お客さまはみんな卵です"と客席を煽るような含みを持たせた言葉(歌詞)の絶妙さで、格の違う存在感を示した。湾岸戦争の頃に書いたという「イタリアの月」、9月にリリースされる新作『クレーン』に収録された「生きていることを見ているよ」などと新旧の名曲を織りまぜながら淡々と、しかし1曲ごとに確かなメッセージと重みのある楽曲で圧倒し、今の世の中に対する皮肉もストレートに含まれた「ライク・ア・ローリング・ストーン」の日本語カバーもまた強烈。"日本のボブ・ディラン"と称され続けてきた友部ならではの切り口で、ボブ・ディランの代表曲が現代のプロテスト・ソングのように生々しく場内に鳴り響いた。そして、GREENSの20周年にも絡めて"春一番に出演した後に酔っぱらった時のことを題材に書いた歌"とMCした後に「地獄のレストラン」を聞かせると、曽我部を呼び込んでデュオで名曲「なんでもない日には」を。本編ラストは友部のセレクトで初期サニーデイ・サービスの人気曲「コーヒーと恋愛」を取り上げ、なかなか聞けない貴重な顔合わせを終始リラックスしたムードで実現させた。アンコールはワタナベイビーも加わっての3人で、友部の「Speak Japanese,American」を。そのアイロニックな歌詞の内容通りに、日本語フォークの面白さ、奥深さ、情緒の深さをじっくりと堪能させてくれた貴重な一夜だった。


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文:吉本秀純 撮影:田浦薫(TAULab.)